「妻のトリセツ」 著/黒川伊保子/講談社

菅野真由美



いつか読んでみたいなと思っていたが、先日この本と出合う事が出来た。

脳科学の観点から夫婦感での妻をどう対応すれば上手くいくのかが書かれた本。
本来なら私の場合、「夫のトリセツ」を読んだ方が勉強になるのかもしれないが、女性の立場であえて読んでみたかったのと、自分の思考や行動が理論的に説明がつくものなのか興味深かった。

読み進めていくうちに、自分の人生を振り返り当てはめてみると、あるあるである。
何故察することが出来ないの?何故共感出来ないの?何故デリカシーのないことを言うの?と。

特に今までとかく世間から言われてきた、「女性の感情のふり幅がわからない」「機嫌の悪くなるきっかけがわからない」「結論の出ない話を延々と話している」など、妻の理不尽な不機嫌はこれを読めば納得できるはずだ。

著者によると、そもそも男性と女性は脳のしくみが違う。
元をたどれば人類の大昔、狩りをする男性と子を産み育てる女性で危機管理能力が違い、それは現代の時代に於いても脳のしくみが受け継いでいるそうだ。

男性脳と女性脳とでは見えてるものが違うというから驚きだ。

女性は右脳(空間認識や音楽的な感覚など感じる力の担当)と左脳(言葉や計算、論理的な考えなど考える力の担当)をつなぐ神経線維の束である脳梁が、男性と比べて約20%太いので右左脳の連携がいい。
連携がいいと直感力に優れ今感じている気持ちがすぐ言葉になる。また目の前のものの観察力がいいので変化にも気付く。

対して連携が緩慢な男性脳は、奥行き認識(ものの距離感の把握)が得意なので空間認知力が高い。遠くや全体、機構がよく見える代わりに、目の前の観察力は低い。
さらに色の見え方も、音の認知周波数帯も、嗅覚の感度も、味覚の感度も、皮膚の触感の感度も違うらしい。

オーケストラの指揮者や三ツ星レストランの一流シェフに男性が圧倒的に多いのも納得できる。

男性はゴール思考、女性はプロセス思考であるがゆえの意見の食い違いをどう対応すればよいのか。
心は肯定し、事実は否定。
この言葉も深かった。

「なじる人は傷ついている。一週間前の出来事であろうと、30年前の出来事であろうと、なじっているのは今この瞬間も心が傷ついているからなのである。」

著者のこの解説は妻だけでなく、世の中全般の人に言えるのではないかと思った。
人を相手にする私達の仕事は色んな事がある。
なじられる人もなじっている人も見る。
その人は今その瞬間も傷ついていたのかもしれない。

脳の仕組みから違いを理解し、互いに上手くつきあう術のバイブル。

男性の皆さま、是非お読みください。

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