ニュース&ブログ

~厄介なくじ引きを引いた意味はここに。~

~厄介なくじ引きを引いた意味はここに。~

鶴﨑彩乃



私が障害者である「理由」。そんなもんあるかないかすら、分からない。くじ引きで当たったようなものかもしれないし、「神は乗り越えられる試練しか与えない。」とか言うけどそんなもん、生まれる前から与えていらんわ。って感じ。そのため私自身は、くじ引き説が濃厚だと考えるようになった。大学で福祉を客観的に学び、相談援助を深く知っていくようになると、「自分には向いていないな。」と強く実感するようになった。私の性格上、相手の気持ちや相談内容を自分と重ねすぎてしまって、精神的に引っ張られるのではないかと思ったからだ。それと同時に気持ちのONとOFFの切り替えに関しても様々な場面で、「苦手だなぁー」と痛感したのだ。それが決定打となって、社会福祉士の資格取得を辞めて、福祉分野での新しい道を模索しようとしていた。そのとき、必修科目の講義で社会福祉士の倫理綱領を目にした。その中には「社会正義に基づいて、社会変革を行う」みたいなことが書いてあった。正確じゃないけど。それは、雷が落ちたように衝撃的だった。坂本龍馬の「この日本を今一度洗濯いたしたき候。」と同じテイストなのではないか。と私は受け取った。行うべきことと手段は違っても幕末志士と同じようなことができるんじゃないの、と思って社会福祉士・精神保健福祉士の資格取得を決めた。そんな中で、私が福祉分野で1番やりたいと強く感じたことは、「ヘルパーさんを支える。」ことだった。それをするには、どうしたらいいのかということを考えた。そして、大学在学中から考えていたことは、ヘルパー事業所を立ち上げるのはどうかということだ。しかし、1人暮らしや様々なことを通して自己覚知を重ねていくうちに、事業所の設立が私に向いてないと思うようになった。その理由は2 つ。私には、人の上に立つような器の大きさと懐の深さがないということと、「自分の事業所のヘルパーさん」と「自分のヘルパーさん」を混同しない自信がなかったのだ。そこに自信を持つことができたら、私は悟りをひらくことができると思う。

そんなとき、思ってもみなかったことが起こる。たまたま、ガイドヘルパーの育成講座をのぞくことができた。もともと興味はあったのだが、実際に見学してみて「やっぱりこれだ!」と確信した。しかしガイドヘルパーの育成過程だけでなく、ヘルパーの初任者研修も見学させていただける機会を得たときに痛感したことがある。ヘルパーの育成過程に障害当事者が関わるということは、仕組み的に困難が多いということだ。社会福祉士のような国家資格を有していたとしても、実際の福祉施設等で相談員などの実務経験がないと、講師資格を得ることができないのだ。仕事先に介助者のことを考えてもらわないといけない私にとっては、実務経験を得るということ自体、中々つらいことなのである。どうしたものかと考えていると、土屋の統合過程の当事者講師の依頼がきた。いやー。いいことってたまには起こるのね。神様に感謝したわ。実際に受講生さんに話を聞いてもらって、私が数年前に「これだ!」と感じたことをもっと詳細に自分の中で納得に落とし込むことができた。

障害当事者が育成に携わることで、ヘルパーさんを支えることができる。そうすることで障害者が利用者としてヘルパーさんに支えてもらうだけでなく、双方向に支え合うことができるのだ。そして、教育・育成過程に障害当事者がいることで、受講生の働く前の理想や想像と、働き始めてからの現実との差を多少なりとも埋めることができると考えた。それの何がいいかというと、離職率を下げられる可能性があるのだ。たとえ、離職率が0にならないとしても、「福祉」というものの敷居を下げることができる。ひいては、それが障害理解につながる。こんな確信があるから私は障害当事者として、ヘルパーさんの教育・育成に関わり続けていきたい。それが厄介なくじ引きを引いて、私が障害者になった理由かもしれないから。ちょっとナルシストかなぁ。まぁいいか。もっと、たくさん深く関わっていけますように。

最後に一言だけ。今、コロナの影響でテレワークとかリモートとかで大学の講義とか色々なことがされているご時世だ。それは、仕方ないことかもしれない。ただ、実際に会ってもらってしか、分からないことがたくさんある。「こんな喋り方するんだ。」とか「意外と普通だなぁ。」とかね。いやいや。ド凡人ですよ。パラリンピック選手やすごい人だけが障害者だと思わないで、と口で言わない方が伝わるのだ。雰囲気とは、すごいと思う。ICTのいいところ、実像のいいところを両方取り入れて、第三の道を進むことができれば、もっと楽しく革新的で建設的なことができると思う。


【プロフィール】 鶴﨑彩乃(つるさきあやの) 障害名:脳性麻痺(先天性=生まれつき)、神戸学院大学 総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科 卒業生、精神保健福祉士・社会福祉士 資格所有、大阪で一人暮らし 6年目、趣味 お城めぐり (目標 現存十二城制覇)