「忘れられている大事なこと」

小倉 彩



私は忘れられているというか、忘れられない人がいます。
それは恋人とかそういうのではないです。すみません。
ユースタイルと出会う少し前の話です。
私にはとても尊敬する叔母がいました。母の妹です。
小さいときからとても可愛がってくれていた叔母です。
よく「ご飯食べにおいで」と連絡をくれていました。

ある時叔母が病気になってしまいました。
ガンです。乳がん。
叔母はすでに嫁いでいたため細かいやり取りは私もわからないのですが、
薬で散らす治療法を選んだようで、一旦は落ち着いたんですが
再発してしまい全身に転移してしまい40代で亡くなりました。
亡くなる前仕事を理由になかなか顔を見に行くことが出来ず、
亡くなる1週間前位にやっと会いに行くことが出来ました。
そこで私の見た光景は、折り畳みの硬いベッドに横たわる叔母でした。
その時叔母は全身にガンが転移し、黄疸や腹水が溜まり妊婦のような状態。
全身痛くて苦しそうでした。
私は「なんで介護用ベッドじゃないの?」と聞いたら「そんな高いもの用意できない」と
悲しそうな顔をする叔父。
私の頭の中で【?】がうごめいていました。
「末期のガンだったら第2号被保険者になるから介護保険使えるよ?」
「介護保険使えたらレンタルで安くベッドとか借りられるよ?」
と、叔父に言うと「え、そうなの?」とびっくりしていました。
私はすぐさまその区役所の福祉課に連絡するよう伝え、ケアマネさんと福祉用具専門相談員の方が来て
とてもテキパキと話しを聞いただけで準備をしてくださり、無事その時一番良い介護ベッドを導入することができました。

ここで私が思ったのは「ああ、やっぱり福祉ってまだみんなが知らないこといっぱいあるんだな」と痛感しました。
私たちの仕事とはまた違った角度からの話にはなってしまいますが、
私はもっとはやく叔母の顔を見に行っていたら、辛い思いを少しは軽減できたのではないかと
今も後悔しています。
亡くなって数年が経ちますが悔いても悔やみきれない出来事です。

私は福祉に携わる身としてやはり苦しんでいる人や困っている方の役に立ちたいのだと思います。
なのでユースタイルが掲げる「全ての必要な人に必要なケアを」という言葉は私にとってすごく良い意味で
重い言葉だと感じています。
今後も何らかの形でずっと福祉という仕事に携わって行きたいと改めて感じたという出来事でした。
後悔は二度と晴れることはないですが、その後悔を胸に日々一人ひとりの利用者様と向き合って行きたいと思いました。



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