私が介護職を始めた理由

山口輝子


私が介護職を始めた理由は、ある人の言葉でした。
いつも「大丈夫」と言ってくれ私の味方でいてくれるような温かい方でした。
ですが「おまえに介護の仕事ができるはずがない」と唯一否定的な事を言われました。
当時の私は自信を持っており『同じ人間が考えついて行動できている事が私にできないはずがない』常にそう思い私にできない事は何も無い。できないのは努力が足りないからで、努力すれば何でもできる。
そう思って生きていたので「できるはずがない」そう言われたのはかなりショックでした。
当時の私は介護を仕事にするという事を甘く見ていたのかもしれません。
甘い考えを持っていた私にそんなに甘い事ばかりでは無いと伝えたかったのか、それとも自身の親が苦労しながら長年続けてきた仕事を軽くやってみようかと口にされた事が許せず「できるはずが無い」と言ってしまったのか…
できない事は無いと自信満々だった私は何だか心の中のモヤモヤが消えずにいました。
できないと言われてしまうと悔しい。
モヤモヤした気持ちを消すためにホームヘルパー2級を取得しました。

その後に働き始めた初日、オリエンテーションを済ませ担当のフロアに行くと、ちょうど入浴の時間でした。
その日は欠勤が重なり職員の数が足りておらず、私は見守りをしていてほしいと一人でフロアの見守りをしていました。
初めての介護の仕事でしたが、お年寄りと話してる所に奥の居室から大きな声が聞こえました。
全員フロアにいると思い込んでいた私は驚き恐る恐る奥の居室の様子を見に行きました。
男性が休んでいましたが声をかけても反応は無く、不安になり浴室にいた職員に急いで伝えました。
その男性は心停止しており、慌ただしく動く職員の様子で別の利用者様も何か手伝える事は無いかと歩き回っているうちに転んでしまいました。

初日に一人は亡くなり、一人は怪我をさせてしまった…
私がきちんと他の利用者様に声かけや歩行補助等できていれば怪我をさせる事は無かったかもしれない
きちんと居室の中も見ていれば最後に一人で過ごしながら苦しい声を出さなくて済んだかもしれない
初日に後悔する事ばかりでもっとスキルアップしたいと強く思いました。

仕事をしていく中で教科書通りにはいかず大変な仕事だと感じました。
人と接するのは好きでしたが、意思疎通ができない方も多く戸惑う事も多くて落ち込んだ事も多くありました。
続けていくうちに介護福祉士も取得し業務はこなせるようになりましたが、施設ではある程度時間が決められてきてしまう為、利用者様とゆっくり関われる時間も限られている。
特定の利用者様と話し込んでいると怒られる事もある。
もっときちんとお話や訴えを聞いたりして不安な気持ちを和らげてあげたいのにできない。
ストレスがたまっていました。

訪問介護の求人を見つけた時は嬉しく思いました。
非常勤として働き始め、老人介護とは全然違う難しさがあり緊張しました。
とある現場で同行訪問していただいた常勤の方につい愚痴ってしまう事がありました。
同じような事が続くのは辛いと思っていましたが、すぐに対応していただけて、驚くと同時に今まで職員が耐えるしか無い環境でしか働いてこなかったので感動しました。
直行直帰なので他の職員と関わるのは同行研修の時だけでしたが、どの方も考え方が優しくて私も優しい人間になりたいと思うのと同時に、教わる事が多くてまだまだスキルを上げていきたいと思いました。
常勤にしていただけてこれから担当するお宅も増えていく中で、少しでも安心して過ごしてもらえるように、周りの人が穏やかでいられるように、優しく接する事ができるように頑張っていきたいと思います。

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