初めての現場で学んだこと

戸叶幸二


突然ですが、私が敬愛するバンド「PRINCESSPRINCESS」(略称:プリプリ)の最大のヒット曲「Diamonds」にこんな一節があります。

♪初めて現場行く時には いつも震える
(原曲は×「現場行く」→〇「電話する」)

つまりこんな一節は無い訳なんですが、ついそんな風に聞こえてしまう介護職デビューから2ヵ月あまりの今日この頃です。

これまでいくつかの職種を経験してきた私はその時々の職場で「気が利く奴」と評価していただき、私も都度謙遜しながらも、内心そのつもりでおりました(笑)

ホスピタリティ業の究極とも言うべき介護職。
「私の天職となるのではないか!?」
などと勝手な妄想に包まれていたのですが、いざ支援開始となると、これまでの経験が全く通じないダメダメ続き。
利用者様にも怒られ、ご迷惑をおかけする日々の連続に楽天家を自認する私もさすがに落ち込みました。

例えば利用者様の身体に触れる際の力加減。
これが本当に分からず、、、
移乗の際の腕の力の入れ方、お顔を拭いて差し上げる際の力加減、足や腕を支える際の力の入れ方など、私はいちいち経験してみないと理解することが出来ませんでした。
要は「勘所が悪い」んでしょうね、、、

その他のことも、新しくやらせて頂くことひとつひとつが1回でOKとならず、それどころか必ずと言っていいほどミスを起こしてしまい利用者様にご不快な思いをおかけしてしまうことが多々ありました。
喀痰吸引ではうまく全てを取り切ることが出来ず、利用者様が諦めて我慢されてしまう。
胃ろうへの経管栄養では注入口のストッパーの閉めが甘く、私の帰宅後に栄養剤が逆流・液漏れしてしまう。
ダメダメ続きな展開に次第に噴き出た大粒の汗を利用者様の電動車いすの操作部分にポタリと落としてしまい「壊れたらどうするんだ」と文字盤越しにお叱りを受ける、、、等々
考えられる全てのミスを起こしてしまった気がします。

これまでの仕事では経験したことがなかった失敗の連続に「介護職は向いていないのかも」と考えることが何度もありました。
が、そんな時は初日からずっと同行して下さったMさんからいつもここぞというタイミングでユーモアたっぷりに励ましの言葉をいただき、とても救われました。

そのうち利用者様からも私のダメなところを優しくご指摘頂けるようになりました。
ある時は、支援中、あろうことか数年ぶりに鼻血を出してしまい、真っ赤に染まったマスクを見て利用者様に爆笑頂けたりして、少しずつですが利用者様との距離感が近づきつつお役に立つことが出来はじめました。
ひとつが上手くいくと他のこともなんとなくスムーズに行くようになり、最後の関門だった喀痰吸引でも我ながら気持ちよく引くことが出来て
「あ、なんとかやっていけるかも」
とはじめて自信らしきものが芽生えたのですが、、、

その翌日サ責であるMさんを通して「NG」との通知をいただいてしまいました。
私の成長するスピードが利用者様には遅すぎたのだと思います。
とても納得のいくお話でした。
むしろここまで私にお付き合い頂いたことに感謝の気持ちしかありません。

その後は、至らぬことがあれば都度教えていただけるようお願いをしながら別の「初めての現場」に入らせていただき、現在は3名の利用者様の支援をさせて頂いています。
私を受け入れて下さる利用者様がいることを本当に有難く思います。
相変わらずお叱りをいただくこともありますが、今は一人でも多くの利用者様の現場に入らせていただき自分の経験値を積みながら、次なる「初めての現場」に繋げるべく精進していきたいと考えています。

訪問介護サービス
新規のご依頼はこちら

介護スタッフ
求人応募はこちら

介護のお仕事