非日常とは

吉田 伊織


皆さんは生活を送るなかで何事もなく安定した穏やかな日常と、何かがある刺激的な非日常どちらがお好みでしょうか?

私はマイペース、スーパーインドア引きこもり男なので穏やかな日常を好んでおります。
またこのシーズンは悪魔のような花粉症(かなり重度)に悩まされ、より引きこもりを加速させます。
コロナ禍もあり、休みの日はNetflixをフル活用し映画を良く見るようになりました。
その中で先日見た一本の映画をご紹介したいと思います。

『最強のふたり』

頸髄損傷で体が不自由な富豪と、その介護人となった貧困層の移民の若者との交流を、ときにコミカルに描いたドラマ。Wikipedia抜粋

ネタバレを含んでしまうので、簡単になってしまうのですが、この障害当事者の富豪の方は自身の支援をしてくれるヘルパーをご自身で面接されます。面接受ける人の殆どはいわゆる真面目な[いい人]、その中1人だけありのままの自分を見せつけ、自分の思ってる事をそのまま口や行動に出す[いい加減な人]。そのいい加減な人を採用するところから映画は始まります。

実話を元にした映画ではありますので、この障害当事者の方は刺激的な非日常を選択された訳です。

さて、自分の支援に振り返ってみましょう。

うん、やるべき事はそつなくこなしているぞ。
利用者様の呼び出しもしっかり対応している。
待機時間も生活の邪魔にならないように静かに待機している。まるでいないかのようだ。
なんて穏やかで安定した支援なんだ。
(過去に吉田の支援を受けた方、詐称のクレームはご遠慮下さい。)

はたしてこれは本当に利用者様が望んだ支援なのでしょうか?

仕事として私たちは支援を提供し、その報酬を受け事業が成り立っています。
ですので、可能な限りのリスクは避け安定した支援の提供が最も望まれます。

しかし重度訪問介護の強みで、長時間の見守りが行えコミュニケーションが支援環境を大きく左右するのも事実です。
中にはその中で刺激を求めている利用者様もいらっしゃるのではないでしょうか?
妥当性の中で利用者様が自分を抑え込んでしまっているのではないでしょうか?

そこを引き出してあげられるのは私たちです。

ちょっと空いた時間にただただ待機するのではなく、ちょっとお話ししてみてください。

それだけでも良いんです。

それを積み重ねることにより、自分を知ってもらえ、相手も知ることが出来ます。

ある利用者様対応の私の支援の一例です。決して推奨するものではございません。一部の方には不快な思いをさせてしまうかもしれませんので、望まない方はスクロールして飛ばして下さい…

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これはある日勤の支援の時だ。
一室に利用者様と自分がいた。
普段は吸引回数の多い利用者様だが、この日は落ち着かれており、静かに閉眼されている。
静寂な時間が過ぎていく。

その時…

『ピンポーン』

静寂を打ち破る呼び鈴音

これはインターフォンの音ではない、ましてや来客の姿もあるわけではない……

なんだ……


そう…


利用者様の呼び出しだ。

吉『どうしましたか?吸引ですか?』
利『………』
吉『体に違和感ありますか?』
利『………』
吉『排泄ですかね?』
利『………』

吉(無反応だぞ…目は閉じているが起きているのは間違いなさそうなんだけど…)
吉『もう一度聞きますね。吸引ですか?』
利『(目を開け何かを伝えようとはしている?)』
吉『ん?吸引で合ってました?』
利『(また目を閉じる)』
吉『もう分からないので全部やっちゃいますね。』
利『(全開の笑)』


こんな支援を提供していても、利用者様からNGを出される事もなく、ゆくゆく男性NGの現場になったが私の入室だけは認められている。
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ここまで飛ばした方は何の事?になりますが、上記が許されているのは、利用者様に吉田はこういう人と言うのを理解していただいている、または私を男としてみていない(こっちは避けたい)のどちらかだと思いますが、私は前者だと信じています。

このようにそれでいいの?一見思うような支援でもコミュニケーションを図る事により、支援として成り立つ事もあります。

さて、話を戻します。

皆さんはコミュニケーションとっていますか?
とっている気になっていませんか?
今一度振り返って見てください。
冒頭で述べた[いい人]になってしまっていませんか?

全ての利用者様に通じるわけでもなく、むしろ利用者様の多くは支援者に空気のような存在を求める方多くいらっしゃいます。
しかしそれもまた、全ての利用者様が望んでいるものではありません。

一歩踏み込み、必要とされているケアの提供を引き出してみてください。

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