台風19号と私たち

台風19号と私たち

菅野真由美(西埼玉エリアマネージャー)



10月12日土曜日、大型台風が静岡から関東を抜け東北を通過し、川の氾濫や浸水によって多くの被害がでました。

数日前から台風が近づく情報に基づき、いつも通りスタッフへの注意喚起はしていたものの、前日になった時にいつもとは違う物々しい雰囲気に、私たちにも緊張がはしりました。
まずは支援のある利用者の状況の把握、公共機関が計画的に全面運行停止になるという事で行けないスタッフが大半になる事から、家族対応が可能かどうかの確認、独居の方の対応の検討など、全コーディネーターへ指示を出しました。
コーディネーターも短い時間内で、各利用者、スタッフとも連絡を取り合い、スピーディーに報告をしてくれた事に大変感謝しています。

その時にコーディネーターが各自判断をして調整をしてくれた内容は、

1 公共交通機関利用スタッフから車移動スタッフへの変更
2 車移動スタッフの手配もつかない支援現場は家族対応をお願いする
3 手配できている現場でも、当日万が一訪問不可能な場合、家族対応に切り替えできるかお願いをする
4 独居の方等必ず支援が必要な現場は、他事業所との協力により、日勤夜勤それぞれの支援時間を延ばすことで、台風通過の時間帯に交代にならない工夫をする、またはスタッフに近くで前泊してもらう
5 体調面で不安のある利用者に一時入院を提案する

以上の調整をしてくれ前日の夕方までには報告をしてくれました。
私たちの指示は具体的ではなかったものの、各コーディネーターはそれぞれの利用者にあった提案をしてくれていました。そのことにより前日は混乱なく台風当日を迎えることになったのです。

当日は朝からメディアからのタイムリーな情報収集に徹し、変化する状況を見守りました。
時間が経つにつれ台風の状況は想像以上に悪く、浸水の危険性や避難勧告も出始め、予定していた支援を家族対応に切り替えるべく、コーディネーターより報告が次々に上がってきました。

最終的にどうしても支援に行かなければならなかった現場は3件。
移動の安全は確保されていましたが、そこはスタッフがこの仕事に対する社会的使命と誇りをもって守ってくださいました。

一夜明け、台風は通過したものの、公共機関は動かず、河川の氾濫により被害が出ている状況に緊張を緩めることは出来ませんでした。

日勤現場は既にキャンセルか時間変更、前泊の対応が出来ていましたが、スタッフと利用者の安全が確認できるまで気持ちが落ち着くことはなく、夕方までにどこからも被害の報告がなかった時に初めて安堵いたしました。

今回の私たちがとった一連の行動が正しかったのか、正解が未だわかりません。今はとりあえず何とかなって良かった、との思いだけです。
たまたま今回何とかなりましたが、状況は毎回同じではないので、次回何とかなるとは限りません。

ただ今回の事で明確になったことがありました。
守らなければならない事。
自分の命、スタッフの安全、利用者の安全。
この3つに尽きると思います。この3つをいかに守れるか、が今後災害時における課題だと思います。

台風のようにあらかじめわかっている事と、地震のように突然起こることでも状況は大きく異なります。

突然の災害は通信すら途絶えてしまうため、各スタッフがそれぞれの現場で判断し決定を下さねばなりません。

その為にはやはり会社としてのガイドライン、シュミレーションは不可欠ですが、介護事業所だけの力では到底難しく、自治体、行政、地域の協力なしには成り立たちません。


私事ではありますが、個人の私はどんな行動をとっていたか。
停電と断水に備え、防災グッズ一式を手元に置き、浴槽にも水を一杯に張りました。
朝から釜一杯にご飯を炊き、山盛りのおむすびを作りました。
離れた場所で一人暮らしをしている高齢の母に体育館への避難を呼びかけようと電話をしたら、既に避難の準備をしているところでした。
個人の私は二人の娘の親であり、高齢の母も気にかけ、当然家族も守らねばなりません。
スタッフにもそれぞれ家族があり、生活があり、みな心配や思いは同じだと思います。

色々と反省点はあるものの、今回大きな混乱がなく事がすぎたのは偶然ではなく、各コーディネーターが利用者に応じた、迅速で的確な判断と指示をだしてくれた事に尽きます。普段から現場や利用者の状況をそれぞれが把握していたからこそ出来た事で、素晴らしい連携でした。
全てのスタッフも「現場に穴をあけない」を根底に、最後まで仕事に使命を持ち続けてくれていました。
大したリーダーシップが発揮できなかった私たちを責めることもなく、何事もなく終わって良かったと笑顔で話すスタッフを見て、チーム力の素晴らしさを再確認し、よいスタッフに恵まれた事にあらためて感謝いたします。


訪問介護サービス
新規のご依頼はこちら

介護スタッフ
求人応募はこちら

コラム