長年の病院勤務を経て

山村由紀子


私は幼い頃、看護師になるのが夢でした。

しかし18歳で結婚、20歳で出産をし、数年後には離婚。看護学校に通い資格を取得することを常に思っていたのですが、日々の忙しさ、諸事情により断念せざるを得ませんでした。
看護師になれなかった代わりに、総合病院で看護助手として就職をし、18年間手術室勤務、10年間病棟勤務を経験しました。 手術室では様々な事例、ドラマで見るような医療機器などに間近で触れる事が出来、毎日が勉強で、仕事は楽しいと感じていましたが、患者さんと関わる機会は全くと言っていい程ありませんでした。 異動で病棟勤務も経験しましたが、それは「患者さんと関わる」と言う事ではなく、病棟を運営する看護師のサポートやその他雑務をこなす事が多く、自らが患者さんのケア、サポートをする機会はほとんど無かったです。

介護の現場ではどうなんだろう、私でも出来るのかと思い、病院の勤務が休みの日を利用し、デイサービスの夜勤アルバイトを始めることにしました。 ヘルパーの資格、知識、スキルなど何もありませんでしたが、病院で学んだ事は活かせるだろうと変な自信もありました。 1晩、7人の利用者さん(うち5人は認知症、要介護2〜5)を任され、様々な関わりの中で、相手に合わせる介護を学べました。 上手な支援が出来たわけではありませんが、相手が安心してくださったり、心地良いと感じる時にみられる笑顔には、喜ばしいものがありました。 同時に病院での流れ作業的業務よりも、ずっとやりがいがあると思いました。仕事を続ける中で、病院の現場で慣れた作業を続けるか、それとも介護の現場でやりがいを感じるかで悩む事が増え、病院の仕事は潮時なのかもしれないと感じ、思い切って退職をしました。

その後、初任者研修を取得し、就職活動をする中で、今度は施設で大勢の人を介護するか、訪問介護の様に一人を介護するかで随分悩みましたが、自分の性格を考えると一人をじっくり介護するのが向いていると思い、訪問介護を選択しました。
訪問介護の事業所を探している時に「重度訪問介護」と言うものがある事を知り、重度訪問とは何だろう、私にも出来るのだろうか、出来るなら経験してみたいと思い、土屋訪問介護事業所に就職する事にしました。

様々な経験をさせて戴く中で、度々難しいと思う事に直面したりもしていますが、それらと向き合い、改善する事は全て自分の糧になると、体感し、日々楽しく仕事をさせて戴いています。




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