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祖父との思い出~じいちゃんはボケてなかった~

祖父との思い出~じいちゃんはボケてなかった~

野村拓平




4年ほど前に祖父が亡くなりました。 千葉県の南房総市千倉町。僕は小学生の頃からずっと夏休みになると祖父母の住むこの町に遊びに行っていました。近くに海があり、山があり、畑がありました。娯楽なんてものは当然ありません。子供が成長をするにはうってつけの場所かもしれません。インフラは未だ不安定ですが。

祖父はのんきな人でした。花摘み園を運営しているのに最後まで花の名前を覚えなかったり、パンツ一丁で近所を散歩したり(田舎だから平気!?だそう)。ですが、孫の僕にたくさんの経験をさせてくれました。海で素潜りも、畑仕事も、車を出して色んな所に連れて行ってくれたりもしました。6人いる孫の中で一番可愛がられたと思います。

しかし、亡くなるほんの少し前に運転中に人と接触事故を起こしてしまい、それを機に免許を返納しました。そこから加速度的に衰えていき、立ち上がれなくなるまであっという間でした。昨今のニュースで自主返納を進めていますが、運転という緊張感がなくなると人間はああも変わってしまうものなんですね…。

そんな事があってから、家からほとんど出られなくなった祖父は周囲から「最近、動かなくなったからボケが進んでしょうがない。会話がおかしい」などと言われることが多くなっていました。様子を見ていると何かを伝えようとモゴモゴしている。言葉が出てこないのだろうか…?それを見て家族が「何?どうしたの?何言ってるか分からないよ!」といった具合にピシャリ。祖父は黙りこくってしまいました。可哀想だなとは思いつつ、してあげられる事が無く、今思えば少しでも味方をしてあげればよかったかもしれません。

さて、そんな祖父に不思議なエピソードがあります。
祖父と二人で留守番を任されていると、祖父に来客がありました。居間に通したあと、席を外して聞き耳を立てていたところ、祖父が訪れた人に僕の紹介をしていたのですが、最近のことまで正確に記憶していたのです。高校でアメフト部に所属していたことや通っている大学の名前、今しているアルバイトの内容まで、正直忘れてしまっているだろうな、と思っていたので大変驚きました。
帰ってきた家族に「じいちゃんボケてないよ!!」とわざわざ伝えたくらいです。

この時、「もしかしたらおかしいのはじいちゃんではなく家族の方なのではないか?」と思うようになりました。コミュニケーションの取り方を知らないために本人が塞ぎ込んでしまうという事態に陥っていたのだと思います。

今の仕事ではその経験から、相手の伝えたいことを待つように心掛けています。長文を紡ぎ出すのが難しい方に対しては「つまりこういう事ですか?」といった具合に細かいニュアンスまで確認するようにしています。祖父のように満足に伝えられない人が出ないように。