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言葉は窮屈「正しい」ってなに

言葉は窮屈「正しい」ってなに

間傳介



言葉は窮屈「正しい」ってなに

こうやって言葉で書いておって、なんですが。

言葉って窮屈なもんです。

何故か。
ここに2人のAさんとBさんがいるとして、例えば「暖かい服を持ってきて」とそれぞれにお願いした時に、2人が持ってくる服はおそらく別のものです。

それがどうした当たり前だろと思っても、本当かなと思う方もしばらくお付き合いいただきたい。

Aさんが南国生まれで、東京がやけに寒いと思っているとしたら、あったかい服として冬山に登れるような丈夫なマウンテンパーカーを持ってくるとしても不思議ではないですね。

かたやBさんが北海道のさらに寒い網走の生まれで、「あったかい」ぐらいだったらカーディガンでいいじゃろう。という判断をするのも不思議ではないと思います。

この時点で、「オイオイ、カウチンセーターだろ!どっちも違うよ!」という人は一度、「自分の普通は特殊であるかもしれない」と疑った方が良いですね。

まずAさんBさんどっちかが正しくてどっちかが間違っているということは、この時点ではないということを確認しなければならないのです。

AさんならびにBさんが正しいか間違っているか、それは各各の価値観に、この状況、他の条件が加わってくるからです。

例えばある家に訪問介護の仕事でAさんBさんが同じ方のお宅に別々に入っているとして、介護を受ける側の方が「あったかい服持ってきて」と仰った。

Aさんはそのお宅に2年ほど通われているので、御本人の温度感覚と当日の気候を勘案して、「今部屋で着るなら」ちょうどいい服を持ってきたとします。

さてBさんは、先日先輩ヘルパーからOKが出て、まだ緊張が抜けきらないという段階。
持ってきたのは分厚いダウンジャケットでした。

この段階でまだ正解は出ません。

Aさんが持ってきた服を着て、利用者さんはいつも通りテレビを観はじめました。いつも通り。大事なことです。

方やBさんが持ってきた服を見て利用者さんは、「それじゃなくてもよかったんだけど」と思いつつも、外出に使う服だったので、「折角出してくれたからちょっとそこのコンビニ行って見ようかな」と気が変わり、コンビニでお菓子を買って、2人でちょっとお茶を楽しむ時間ができました。

さて、このAさん、Bさん、どちらが「正しい」のでしょうか。




間傳介 プロフィール

1981年、鹿児島県産まれ。
宇都宮大学教育学部国語科教育八年満期退学
「東京に行け」との高校の恩師の言葉を独自解釈し北関東に進学。
修辞学、哲学、文学、芸術、音楽、サブカルチャー等乱学。
効率、生産性ばかり喧伝する文化の痩せた世の中になった2008年ごろ、気づいた頃には相対的に無頼派となっており、覚悟し流れ流れて福祉業界に。
知的障害者支援、重度訪問介護、などに従事。
「能(よ)く生きる」ことを追求している。
友愛学園成人部職場会会長