コーチング・カウンセリング・バックアップ

岩澤 正博



よきリーダー…正直、何がよきリーダーなのかよくわからないのが本音です。
ネットで調べたり、書籍を読んで良さげなリーダー論を実践してみても、それだけではうまくいきません。

よくわからないので、私が個人的に実践しているのは、この会社のキャリアパスの話でたびたび出てくる内容です。
常勤スタッフの方は、賃金体系説明のときにこの話を聞いたことがあると思います。

次のような3つの言葉です。

・コーチング
・カウンセリング
・バックアップ

細かなリーダー論の枝葉的な話はいろいろあるのでしょうが、多くはここに集約されているような気がします。
簡単に言えば、上の階層の人が、下の階層の人をフォローしていくというものです。

例えば、ケアスタッフの直属の上司はコーディネーターですが、コーディネーターはケアスタッフを教育(コーチング)し、何か悩みや問題を抱えていればしっかりとカウンセリングをします。
また、ケアスタッフがシフトに穴をあけてしまう場合には、それをバックアップします。

このことは、コーディネーターのひとつ上の階層であるサービスマネージャーを例に出してもまったく同じです。
サービスマネージャーはコーディネーターに必要な知識、技術、ノウハウをコーチングします。
コーディネーターが抱える様々な悩み、問題についてカウンセリングし、抱えきれない業務をバックアップします。

同じようにエリアマネージャーはサービスマネージャーを、ブロックマネージャーはエリアマネージャーを、ジェネラルマネージャーはブロックマネージャーをコーチング、カウンセリング、バックアップしていきます。

ただし、注意してもらいたい点がひとつあります。
それは、こうしたフォロー体制は決してひとつ下の階層にだけ行われるものではないということです。
先にあげた例でいえば、エリアマネージャーやブロックマネージャーは、自分より下の階層にいるマネージャーをフォローするだけでなく、コーディネーターやケアスタッフをフォローすることもありますし、自分より下の階層にいる人たちすべてをフォローできる必要があります。

ある意味マネージャー層の人たちは、何でも屋さん的な資質が要求されるポジションであるともいえますし、サービス提供が必要な利用者支援に関わるなど、より具体的な業務をこなせる能力も必要となってきます。
なぜなら、フォローするうえでの大事な要素としてバックアップがあるからです。
このバックアップは、基本的にはひとつ下の階層が抱えきれない業務をフォローすることにありますが、さらにその下の階層までフォローしきれない場合には、ここをより上の階層の人たちがバックアップしていく必要が生じてきます。

例えばこんな感じです。
ケアスタッフの人員不足をカバーするために、コーディネーターが利用者支援をバックアップします。
しかし、ケアスタッフの人員不足が顕著な場合には、コーディーネーターがすべての支援をカバーしきれない場合が多々あります。
そのような場合、サービスマネージャーやエリアマネージャーが利用者支援に入ることも必要で、そのためにはマネージャー業務を行う人たちにも一定のケアスキルが求められます。

余談ですが、オリエンテーションのキャリアパスの説明のとき事業部へ入社した常勤は、すべてケアスタッフからスタートするという話があったと思います。
それは、現場を知らなければ利用者支援のバックアップはできませんし、かつケアスタッフへのコーチングやカウンセリングも出来ないからです。

また、ここでは利用者支援を例にあげましたが、それだけでなく教育やメンタルケアなどのバックアップにあたることもよくあります。
下の階層の人たちが対応しきれないコーチングやカウンセリングもバックアップの対象となるということです。

実際、フォロー体制がうまく機能すると、各スタッフが主体的に能力や多様性を発揮し、チームの目的や目標が達成しやすくなる傾向があります。
つまり、上位階層のリーダーが適切に下位階層の人たちをフォローしている組織は、チームビルディングが実現しやすくなるといえるのです。

私はこのチームビルディングを実現しながら、目指すべき方向へチームを導いていける人がよきリーダーではないかと考えています。

とはいえ、これが言葉でいうほど簡単ではありません。

例えば、チームビルディングを実現するために、コーチング、カウンセリング、バックアップをしっかりやっているつもりでも、うまく機能しないことがあるからです。

その理由の多くは、そのときのチームの環境や人間関係に合ったフォローができていないことが大きな要因となっているようです。

コーチングをする、カウンセリングをする、バックアップをする、ということを事務的、形式的に実践しても意味がなく、その時々のチームの状況によって、同じ内容でもアプローチの仕方を大きく変えていくことが重要ではないかと考えています。
そのためには、リーダーは目標に向けてチームをリードしていく牽引力と、様々な環境、人間関係に対応していける柔軟性が必要となってくるといえるでしょう。

よくリーダー論の中で、次のような二つのタイプのリーダーが比較されます。
ひとつは、縁の下の力持ち的なリーダーで影で支えるタイプ。もうひとつは、トップダウンで指示を出し、素早く行動をしながらチームを力強く引っ張っていくタイプです。

私はこの2つのタイプはどちらも正解で、むしろどちらにもなり得るリーダーが、真のリーダーシップを発揮する人だと思うようになりました。

大切なのは、ケースに応じてそのチームにどのようなアプローチが必要か、そのうえで理想的なリーダー像は何かを判断し、柔軟に2つのタイプを使い分けたり、ミックスしたりしながら誠実にチームメンバーと向き合うことにあるような気がします。
誠実であればときとしてメンバーと衝突し、激しく意見を交わす場面があってもいいですし、むしろそんな人間臭いやり取りの中から、チームメンバーがリーダーに求めている資質を分析し、チームビルディングを実現するために適切なリーダー像を演じ切ることが大切なのではないかと思います。



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