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介護のお仕事から学んだこと 今までの『当たり前』を一度忘れて

介護のお仕事から学んだこと 今までの『当たり前』を一度忘れて

渡邊 知朗



私が、一番初めに介護の仕事に携わったのは施設(高齢者デイサービス)でした。デイサービスの仕事をするようになり、その業務内容に少しずつ慣れてきたころ、先輩方から教えていただいたことで、自分が強く意識しながら臨んでいたことが大きく3つあります。

・高齢者の方が転倒などにより、けが(特に足の骨折など)してしまった場合は、元の歩ける状態に戻ることは容易ではない。ご自身の力で歩くことができなくなってしまうことは、その方、ご家族の今後の人生を大きく変えてしまうことになる。



①何よりも安全に過ごすことを最優先にすべきである。

・ご利用者の皆さまはご自宅において独居の方はもちろんのこと、ご家族と同居されている方であってもご家族との会話や関わりが少ない場合もあり、歳を重ねた、というだけで孤独を感じている人がほとんどである。


②来所されている時間は、とにかく笑って過ごしていただけるような空間を共有しよう。

・ご自宅では入浴もままならない方も多く、通所の理由が入浴サービスを利用することである方も多い。


③ご本人の意思にそぐわないとしても、入浴していただくことが正解だ。

 丸印で書かせていただいたことが、先輩方からの教えを自分なりに考えて至った基本指針になったわけですが、ずいぶん極端な考え方ですよね?しかし、不思議なもので当時の私はこの極端な考え方に何一つ疑問を感じず正しいと思い込んでいました。しばらくして当時の上役と話しているときにはじめてそのおかしさに気づかされました。

 ①安全に過ごしていただくことは確かに重要だが、手すりや歩行器を使うことで一定の安全歩行が可能な方に常に付き添い、時に必要のない介助までしてしまうことはご本人の自由の妨げに、長い目で見た時に今ご自身でできている機能まで奪いかねない愚かな行為であった。

 ②一日をどのように過ごしたいかは人によって様々。それを一緒くたにくだらない話を聞かされて笑わされている状態が果たして楽しい空間と言えるのか?

 ③もちろん、入浴をしないことは皮膚トラブルや細菌感染のリスクを上げてしまうことになるので、定期的に清潔を保つ必要があるが、そのやり方に問題があるのではないか。

 ・・・思い込みというものは恐ろしいものでした。こうあるべき、と思い込んでいますと違った角度から物事を捉える力が極端に弱くなり、当たり前の疑問を疑問と感じられなくなります。デイサービスの仕事に慣れていくにつれ、気づかぬうちに『べき思考』に陥っていた自分自身に深く反省したことを覚えています。
 この1月から今までとは別の部署で勤務させていただいておりますが、今までの『当たり前』を一度忘れて、客観的な視点で物事を捉え、皆さんと一緒にチームを前に進めていきたいと思っております。


※渡邊知朗プロフィールはこちら