介護のお仕事で困ったこと 「触れさせてくれない」

飯郷仁輝



元々、営業や販売職での経験が長かった私自身にとって、ある程度のコミュニケーションスキルや販売ノウハウなども体得しているつもりではおりました。そして、介護の世界でこの自分のスキルを活かしてサービスに務めていこうと意気揚々と足を踏み入れたワケなのですが、まあ・・・、

これが意に反してうまくいかないのなんのと、鼻をへし折られたものです。

障害者総合支援法における重度訪問での利用者様のサービスが主なのですが、食事介助においては元々”江戸っ子”なので醤油多めの味が濃い派で、自分の好みの味で食事を作ったら『こんな濃いの食べられないわよ!!』とお怒りを買ったり、洗濯の仕方や畳み方、オムツ交換も『違う、違う!!』
・・・まさに十人十色、利用者様毎にやり方が違ったのですね。

このように利用者様ごとにやり方が違うために研修を設けられていると思いますが、一番堪えたのが、何回も研修に入っても、利用者様が私にやらせてくれなかったことですね。
床ずれ予防に除圧や体位交換を行うのですが、身体すら触らせてくれない。しかも多くの利用者様がこのような感じで、これはもう行くたびに傷付きましたし、自信も段々無くなってくるんですよ。

そして、これが二ヶ月も続くとさすがに『向いてないのかな』と感じてきてしまうんですね。
正直、ノイローゼになる一歩手前の状況だった思いますが、ついにある日、先輩が休みで一人でやらないといけない状況になりました。
オムツ交換や体位交換も補助ではなく一人で介助を行っていることに誇りさえ感じている自分がいました。もちろんその日は怒られ怒鳴られながら・・・その日を境に他の利用者様宅にも徐々に一人で入れるようになり、ガンガン言われる中にもこちらも言わないといけない”衝突”があったり、理論ではなく肉体的に覚えることで確固たる自信に繋げていったと思いますし、あの想いをしなかったら、ここまで強くはなれなかったと思います。
今では怒ってくれた利用者様方に感謝の気持ちでいっぱいなのですね。

以前の連続学習会にて弊社の高浜GMのコメントで、介護のことを”営み”と表現しておりましたが、最近では利用者様とヘルパーの二つで一つになった共存共栄がまさに、ひとつの生き物のように感じます。

あのころは右も左も判らなく余裕もなく、ただただ”仕事”を意識していたのですが、今思うとその薄っぺらい考え方が間違いだったのでしょうね。冷静に振り返ると、馴れていない人に身体を触れさすのは危険で怖いに決まってます。
今でこその持論ですが、結局ケアで大事なのは、『寄り添う気持ち』だと感じてますので。

でも、そうは言っても実際は相性があるしどうしようもないこともあります。

そんなときはどうやったらいいか?
おそらく多くの介護職の方の・・・
その答えは・・・??

『ない』

お互い人間ですから。

素晴らしいではありませんか!?

相手に寄り添う。
これこそが”営み”なのでしょうね。



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