介護のお仕事から学んだこと 自己改革

山本潤



私が介護の世界に足を踏み入れたのは8年前。
それまでの僕は全く関係のない大工職人でした。

20年以上介護の仕事をしている母親からはいつも、「介護の仕事は今後必要やから絶対資格は持っとき!」といつも言われていたが、職人時代の頃は絶対に就かない仕事No. 1だった。

10代、20代の頃は社会に貢献しようなんて考えた事もなかった。

そんな自分の意識を変えたのが、建築現場でもバリアフリー化が広がり、実際に身体が不自由な方と打ち合わせをしたり、現場でスロープや手すりを施工する中で、その人の立場になり悩んだ時に自分の視野が広がりました。

「この高さに手すりがあれば、お客様が楽に安全に暮らせる」
「この壁はここにあると絶対邪魔やなぁ…」
などなど色々考え悩み施工する。

完工して引き渡しの際には涙ながらに
「本当にありがとう!これで安心して暮らせます」
と言うお礼の言葉に今まで感じたことない重みを感じた事は今でも覚えている。

職人時代は若い頃から自営業でやってきたので、世間の不景気の煽りで先行きも不安だった。

そこで思い切って転職を考えたのが、介護の世界でした。

施設勤務で毎日高齢者の方々のお世話をさせてもらう中でおじいちゃん、おばあちゃんに囲まれて、あれだけ尖っていてイケイケだった自分の心も穏やかになったと感じた。

日々勤務させてもらう中で、だんだん介護の仕事の良さも増してきて、いつしか自分の中で、「これからの時代介護しかないやろ!」って周りに勧めている自分もいたほど。

1年経ち、2年経ち、利用者様とも深く信頼関係が出来た頃、何か違うと思い始めた。

各利用者様の部屋で喋っていたら、
「いつまで喋ってるん!早よ次行かな終わらんで!」と上司に怒られ、
入浴時は寒い冬にもっと温まりたいと言う利用者様を時間だからと手を引いて上がってもらう。
自分やったら嫌やなぁ…
自分らしさってどこにあるん?

と、色々疑問を感じ、施設勤務は自分には合わないと思い、退社を選ぶ。

退社する当日まで
「ありがとう!また遊びにきてや!」と言ってくれた利用者様。
こんなん言われたら泣くわ。。

今でもその施設には遊びに行ったりもする。

そんな介護経験もあったが、すぐ違う会社に勤める事もなく、しばらくは封印されていました。

その後また自営業で職人に戻り、雑貨屋をオープンさせたり色々してきた。

ある人との出会いから障がい者の就労支援の仕事に出会う。

一般主婦から障がいのある方々まで、色んな人にモノを作ってもらう仕事を開業する事になり、作業場には毎日たくさんの人が来て作業をしてくれていました。

その時に障がい者の人の方が仕事が綺麗できっちりされていた事が衝撃的でした。

車椅子で通い、仕事をして、自分からしたら不自由なはずなのに、どんな仕事にもチャレンジし、誰よりも完璧な仕事をする。

そしていつも誰よりもスペシャルな笑顔でイキイキしている。

当時は何もわからなかった私だが、自分なりにノーマライゼーションを感じていたのだと思う。

世間では障がい者の人が安い賃金で雇われる中、同じように仕事をしているのに、なんでこんなに賃金格差があるねん!って思ったり、当事者の人と話をする中で感じた暮らしにくい環境を何とか出来ひんもんか…と。

障がいあるない分け隔てなく暮らせる世の中になれば良いのに…と思っていた時に見たのがユースタイルラボラトリーの求人だった。

とりあえず非常勤でって気持ちで統合課程に参加し、そこで話をしてくれた高浜さんや八木橋さんの言葉に感銘を受け心が奮い立ち入社を決心。

その日から、どんな障がいを持つ人でも、自分らしさを持って生きていけるようにしたい!とノーマライゼーション社会の実現に向け強い思いを持ち今も突き進んでいます。

この介護の仕事に就き学んだ事は数多くあります。
何より一番学び変わった事は自分自身でした。

確かに介護の仕事は技術も必要。
でも介護技術は日々積み重ねるごとに身についていきます。

ただ人の心ってなかなか変えられないもの。
そんな自分を変えてくれたのは「人」との関わりでした。

利用者様をはじめ、スタッフさんや上司の方々と関わる中で自分を変えることができました。
この自己改革が出来た事が一番大きいです。

そしてマネージャーにならせて頂いた今、和歌山エリアのスタッフさんには毎日感動させられます。
社会貢献の実現に向け1人では絶対出来ないことが、同じ想いを持ってくれるスタッフさんたちとなら、和歌山を変えていける!

なら自分はこの若い世代のスタッフさんたちを精一杯守り、共に突き進みたい!と思いました。

ひと昔前は自分の事しか考えず、自分が幸せならそれで良い!と今思えば情けない人間でしたが、それを変えてくれたのが介護の仕事。

その人のために、その人が生涯を安心して暮らせるように関わらせて頂く喜びを感じています。

じゃあ今は自分はいいの?
所詮きれいごと。と思う人もいるかもしれません。
でも違います。
これを実行することで自分には後から返ってきます。
変えることが難しい自分を変えてくれた事、これは大きな財産です。

「全ての必要な人に必要なケアを」
このテーマはかなり大きな事だと思います。

でも私たち1人1人の意識がその一つのテーマに向かい、1人が1人の人を助け、また1人を救えば不可能ではないと思うのです。

こんな何の学もない自分でも役に立てるということを感じさせてくれた仕事。

またずっと私に介護勧めてきた母親が今の仕事に就いて安心してくれています。
形では何も出来ないですが、喜んでくれている母親を見ると、これも唯一親孝行になるのかなと。

これからもTEAM和歌山のスタッフさんたち、上司の方々、利用者様や周りの方々に感謝し、自分を変えてくれた介護の世界で、ノーマライゼーション社会の実現に向けて邁進して行きます!


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