地域生活を支える 旅行の楽しみ part2 ~小田原編~

渡邉由美子



今はコロナウィルス感染症の状況下で必要な外出もままならず、自粛自粛の日々が続いております。元の状態に戻るのも何年かかるかわからないと言われていて、以前のような仕事をしたり余暇を楽しむという平常な日常生活が今はとても難しい現実です。

でも!こんなときだからふと思うのです。人はそれぞれの娯楽があるから頑張れると思います。そんなことを考える中で、数年前に介護者と日帰りでふらっと行った小田原小旅行を思い出したので、今回はその時のエピソードを綴ってみます。

常に喜怒哀楽も含めすべてをオープンにしなければ生きていけない状態の私の暮らしでは、どんなにうまくいっている介護者でも、人間なのでお互いに波長の合う時もあれば、普段は何事もなくやっていることがなんとなくうまくいかない時があります。微妙な空気が部屋の中に漂い、言わなければ良い一言がきっかけでギクシャクしてしまうこともあります。そのような時はともに娯楽の時間を過ごす事が、ふっと息を抜いた関係性にリセットされ、また改めて生活がスムーズにいくきっかけにつながります。

とある介護者とそんなことを、ある日、「実行しよう!」ということになり、なおかつちょうど休まず入ってもらって一年になる記念ということもあったので、何か思い出に残ることを無理なくやってみようということになりました。

毎週泊まり介助に来てもらった時に少しずつプランを練って小田原に行くことが決まり、東京駅で待ち合わせをしました。しかし電車に乗り込み、しばらくするとあり得ないほどの雨が降ってきて、(これはどうなることか…)と、とても気が重くなりました。

この日のメインの目的は浜焼きを食べようと考えていたので、お店は屋内であっても、雨が降っていると移動が大変で目的が達成出来ない可能性が頭をよぎり、私は(何で肝心な日に雨女なのだろう…)と思いました。でも!介護者が晴れ女だったようで、小田原駅に着く頃には曇り空ではありましたが雨は降っておらず、暑くもなく寒くもない天候に変わり、ラッキーなスタートを切ることが出来ました。

小田原駅に着いて、乗ろうとしているバスまでに少し時間があったことと、朝早く集合したのでお腹が空いていてお昼美味しいものを食べるとわかっていながら、駅ビルの中のお土産店を一周し、かまぼこなど名物の試食をして楽しみ、少し余裕をもって乗る予定のバス停に向かいました。

ところが!行き慣れない初めての場所というのは、予想もしない困難が待ち受けているものです。

目の前にバスは見えていますが柵に覆われていて、どうしたらそのバスに近づけるのか右往左往することになりました。車椅子でなければ、またいであっという間にバス停に行けますが、車椅子は迷路のようにどこに行けば辿り着けるのかわからず旅の最初から一汗かきました。

ですが、なんとか無事にそのバスに乗ることが出来ました。しかし今度は東京のバスと違い、車椅子が乗れる設備にはなっていても、運転手さんが実際に乗せた経験はほとんどないようで、ましてや私の大型電動車椅子に戸惑い、固定具がどうすれば止まるのかわからず困惑された一幕もありました。乗り降りするスロープの勾配もキツく、バスの傾きを調整する機能もなく、乗っていた乗客の皆さんに手伝っていただき乗ることができて、素敵な一期一会の関わりが生まれ、「今日は小田原を楽しみに来た!」と言ったら、「よい旅を!」などと快い声掛けをしていただき、とても嬉しい気分になれたことは忘れ難い出来事でした。

そんなこんな様々なことを体験しながら、いよいよ今日の目的地である浜焼きのお店に到着しました。事前に調べたり予約をしていたので、お店の中には難なく入れました。生簀から取ってきて好きなだけ焼いて食べるのがメインのお店だったので、私の車椅子の高さでは生簀にどんな魚がいるとか取るとかが出来ず、想像して介護者に頼んだり周りの他のお客さんが食べているものを見て「これを食べたい!」とお願いして、取ってもらい食べるという状態でしたが満腹になるほど堪能しました。

一つの難点は、もっと会話もしたいし、せっかくなので介護者もゆっくり食べられると良いのですが、介護者が一人だとどうしてもせわしない感じになってしまい、ほとんど食べる事にしか集中出来ない状況だったので、やはり遠出は複数の介護者をつけていくことが実現すれば、もっと充実したものになると感じました。このような時は、介護者も仕事中だから私の介護をするという感覚ではなく、ともに生活の潤いを作る気持ちになってもらえる環境が整うと、私も本当の意味で日常を離れることが出来ると思いました。

この日の体験を通して、日帰りでも充分楽しめるということがわかったので、次回は三崎マグロ切符や葉山女子旅などに行ってみたいと今からワクワクしています。たまにでもこうのような時間が持てるからこそ、日々の厳しいこともある自立生活も続けていきたい!やっぱり地域に暮らしていくことは私たちにとって成し遂げていきたい生き方なのだと、再認識出来た一日でした。


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渡邉由美子
1968年6月13日生まれ 51歳
千葉県習志野市出身
2000年より東京都台東区在住
重度訪問介護のヘルパーをフル活用して地域での一人暮らし19年目を迎える。
現在は、様々な地域で暮らすための自立生活運動と並行して、ユースタイルカレッジでの実技演習を担当している。

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