現在は「withコロナ」の新しい模索を確かなものにしながら、新時代を築いていきたいと社会全体が動き出したばかりです。
不謹慎かもしれませんが、そんなことを考えれば観光で生計を立ててきた人々にとっては観光客が呼び込めないことは本当に死活問題なのだと思います。そんな観光業が一日も早く基に戻れる日を期待しながら過去に行った日帰り旅行の事について書いてみたいと思います。
今から三年ほど前の春に親しくなった学生ヘルパー2人と、卒業を目前にして思い出作りをしようという事になりました。品川駅に集合して当日切符を買うことで様々なプランから自分のやりたいこと、食べたいもの、お土産にしたいもの等を選ぶ形式で、その切符代に楽しむお金もある程度含まれているのがこの「みさきまぐろきっぷ」の利点です。ガラス工芸を実体験してネックレスを作りそれをお土産に出来るプラン、日帰り温泉プラン、ひたすらグルメを楽しむプラン等多彩でなにも考えずぶらっと参加しても、もれなく一日を堪能できるシステムになっています。
上野からもよく出ているはとバスツアーの鉄道バージョンの様なものと説明すればイメージが付きやすいでしょうか?
みさきまぐろきっぷ参加の話は後程詳しく伝えることにしたいと思います。
さて、はとバスツアーについて私の思いを綴ってみたいと思います。
みどりの窓口のパンフレットが置いてある棚に沢山のはとバスツアーのチラシが置いてあると行ってみたいなぁと思い手に取ることがあります。一万円ポッキリで一日堪能できるプランとその土地の美味しそうなお料理食べ放題、ものによっては温泉付き、お土産付き等魅力的な文字や写真が所狭しと並んでいます。楽しそう、美味しそうと思い何度か参加を申し込みたいとホームページを見てみたことがあります。とにかく何も考えずお金だけ所定料金払えば後は集合場所に行くだけで健常者は楽しめる様になっています。いいなぁと単純に思わずにはいられません。遊ぶこと大好きな私ですから・・・。しかし、プランの検討に入る暇も無く飛び込んでくるホームページの一文があります。「お体の不自由なお客様に対するバス乗降やツアーの進行に伴う時間的配慮は一切お手伝いしかねます。お客様ご自身と介助者の皆様でお手伝いください。」と書いてあります。この一文は会社としてはツアー参加を拒んではいません。と言いつつも極めて参加してほしくないという会社側の姿勢の表れを示していると思います。格安でより多くを求めた企画で顧客満足度を上げてリピーター客を増やし運営を安定させていく為には、参加する条件の為に多額の経費を要する重度肢体不自由者はこうせざるを得ない事情も経営者側からみれば理解できるとはと思いつつ、実質参加が難しいことを残念に思わずにはいられない私です。少しずつ世の中が変わり新宿などから走る長距離高速バスにリフト付き車両が国の助成によって運行されるようになったり、新幹線の指定席に車椅子用座席スペースが設けられそれがやっとインターネット予約できるように良い変化が見られる社会に変革されつつあります。
自粛の影響で、はとバスも何ヵ月も営業できない状況が続き、経営再開自体が厳しい中で今はとても車椅子のお客様に対する合理的配慮はできないのは仕方がありませんが、土日の外出場所がマンネリ化して新しい場所へ外出に行きたいと望んでいる障害当事者は意外と多いので、一台でもはとバスにリフト付き車両が導入されれば行きたい人は沢山いると思います。そんな余暇の部分にも障がい者の参加を考えてもらえる社会になってほしいと切に望みます。行政の余暇に対する援助も期待したいところです。 その点、「みさきまぐろきっぷ」は普通の在来線の切符にご当地の楽しみをプラスした形の格安プランなので、温泉コースなどよりバリアの多いプランを選ばない限り手動車椅子であればお店の方の協力も得て美味しく海鮮定食を食べ、ガラス工芸もお店の人に手を添えて頂いて火傷をすることもなく、自分で作った感のあるネックレスを持ち帰ることができました。一緒に行った学生ヘルパーとの良い思い出を創ることができました。日常を離れ三浦海岸を散歩して少し寒かったですが海辺を散歩する非日常感を味わい楽しむことのできた一日を過ごせてとても幸せでした。障がい者を参加させるために特別な経費をかけて特別な配慮をしなければならないと思うと絶対的少数派の人の為にそんなことはできない。と構えられてしまい実現が遠いものとなってしまいがちですが、障がい者が参加しやすいツアーを企画する事によって誰もが参加できるという発想の転換をして頂くことができればこの世の中全体が住みやすい、生きていて良かったと思える社会に変わっていくと私は信じて活動を続けていきます。一日も早く何も考えず、以前のように週末を楽しめるコロナウイルス感染症の収束を期待してこのような文章を書かせていただきました。
渡邉由美子
1968年6月13日生まれ 51歳
千葉県習志野市出身
2000年より東京都台東区在住
重度訪問介護のヘルパーをフル活用して地域での一人暮らし19年目を迎える。
現在は、様々な地域で暮らすための自立生活運動と並行して、ユースタイルカレッジでの実技演習を担当している。