土屋人日記 長女が大学を卒業した

菅野真由美

先日長女が大学を卒業した。コロナの影響で卒業式は取りやめで研究室単位での卒業証書の授与を行ったようだ。理系の学校だったので実験室で普段着のまま数名で行ったとのこと。これはこれで忘れられない思い出になったと思う。

持ち帰った卒業証書を私に見せて、娘は「ありがとう」と言った。
私は少し胸が熱くなった。

その晩私が思い出すことは長女が小さい頃のことだった。難産だったこと、時間がかかったこと、やっと生まれたら女の子で驚いたこと(先生からは男の子と言われていたので)、夜泣きがひどかったこと、人見知りが強かったこと、そして優しい子供だったこと。
色んなことがあったと思い出があふれでてきた。

子育ては一大事業。
楽しいばかりではない。辛いことも苦しいこともある。一生分の心配もした。ケンカもした。ひどいことも言って傷つけた。たくさん悩んでそして全力で守った。
勿論これで母親が終わったわけではなく、この先も親子の関係はつづく。ただこれからの未来は確実に私が老いていく。

ふと半年前のことを思い出した。
電車の中で産声をあげた赤ちゃんのことを。
女の子だった。あれからすくすくと育っているだろうか。そろそろお座りができるようになっているだろうか。お兄ちゃんとお姉ちゃんがいたので3人の子育てはさぞかし大変だろうと。

密な時間は本当に短い。でもそれがわかるのはかなり先だ。渦中にいる時はその大変さで心がいっぱい。

あの赤ちゃんの名前も知らないが、きっとこれからも何かの節目で思い出し、勝手に想いを募らせるのだろう。6年後、小学校に入学しただろうか、中学生になったのかな、と親せきのおばちゃんみたいに。

娘はこの春から社会人になる。本人は期待もあるが不安も大きい。入社が間近になりメンタルが落ちてきた。

今までは高校も大学の進学も最終決定は自分でしたけど親が大半関わっていた。それが就職は初めて親を頼らず自ら考えて行動をし自ら選択した。その選択した会社が正しいのか、誤ってないのかが不安、と話してきた。

親として何と言ってあげればいいのだろう。

人生何が正解かわからない。会社は入ってみなければわからないし、仕事はやってみなければわからない。
私も今の会社に入る時はやれるかどうか不安だった。でもやってみたらなんとか出来た。ただ今はやれてるけどこの先やれるかなんて保証はない。今は今を頑張るだけ。
就職は自分も相手を吟味して選ぶけど、少なくとも相手からも選ばれて今がある。自分を信じ選んでもらったそのご縁をまずは大事にしてみたらどうかな。

それが私に言える精一杯の言葉だった。

コロナの影響で世間は内定取り消しの話も聞く。

そんな不運な卒業生もいる。みんな負けずに頑張って。


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