私が介護の仕事を続ける理由

細谷芽衣




高校では、介護に少し興味があったので、福祉の授業を選択し、その授業で介護施設を何ヵ所か見学して、私に合っているかも(他にやりたい事もないし)と思い高校を卒業後に老人ホームに就職しました。
その時の私は、遊ぶ事に夢中で、この仕事が好きだから働いているというよりも、遊ぶお金を稼ぐ為にしょうがなく働いているといった感じてした。
ある日、先輩職員に「しっかりと仕事をしているつもりかもしれないけど、あなたの気持ちはお客様に伝わるのよ」と言われました。
そんな事を言われても私には何も響かず、認知症の人に何がわかるのかと言った感じでした。
今思い返しても、お客様や仕事に対する誠意というものがあまり無かったと思います。

そんな中、いつも通り仕事をしていると女性のお客様から「いつもありがとう。あなたたちがいてくれるから残り少ない人生を普通に生きていける」と言われました。
そんなに深い言葉には聞こえませんが、その時に気付きました。この人達は死ぬまでここで生活するのかと。全員ではありませんが、施設に住んでいるほとんどの利用者が最後の時間をここで過ごす事になるのです。
単純かもしれませんが、その時に私の心境が変わったのだと思います。残り少ない人生を充実したものにさせたいと。
まず、私は利用者の皆さんに今何がしたいかお聞きしました。
お寿司が食べたい、動物と触れ合いたい、買い物がしたい、お花を見に行きたいなど色々とありましたが、職員のみんなに協力をしてもらい、出来る事はほとんど叶えられたと思います。利用者の皆さんはとても感謝していましたが、何より自分が嬉しい気持ちになりました。
それからの私は感謝されたり、頼りにされることの喜びを知り、この仕事がとても好きになったのです。

それでも楽しく働く中で思っていた事があります。 
毎日時間に追われていて一人一人のお客様とじっくりと向き合えないと。どこかに出掛けるには職員が休日出勤をしないとまわらない、お風呂好きの人にはもっとゆっくりと入浴をして欲しい、便秘気味の人にはトイレにゆっくりと座って欲しい、お話好きな人とはたくさんお話がしたいなどと常々考えるようになりました。
30歳を過ぎた事もあり、介護の仕事は好きだけど何か新しい事にチャレンジしてみたい、もっとお客様一人一人に丁寧な介護がしたいと思いました。そんな時こちらの会社を転職サイトで見つけ、年齢の若い障がい者の方やALSなどの難病の方の介護はした事がないし、関わった事もないしスキルアップがしたいと思い応募し、入社することができました。

入社研修では、吉次さんという身体の不自由な方からお話が聞けました。介護の経験はありますが、利用者さん目線でのお話が聞ける事はなかなかなかったので、とても勉強になりました。
他にも研修中に、筋ジストロフィーという難病の方の実話『こんな夜更けにバナナかよ』という映画をすすめられ、次の休みの日にはさっそく鑑賞しました。
結論から言うと、とても素晴らしい映画だと思いました。
「人の手を借りるには勇気が必要」「家族には家族の人生を歩んで欲しい」という言葉を聞き、介護職は本当に大切な仕事なんだと思いました。

これからお客様のお宅へ伺い、色々な方の生活のお手伝いをさせてもらうにあたり、1人で生活ができない事、自分の生活に他人が入り込む事がどれぼど大変な事かをしっかりと理解して、お客様の気持ちに寄り添った介護ができるよう心掛けたいと思います。

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