3歳の男の子の支援の依頼を受けた。医ケア児の在宅介護医療については市町村が力を入れて下さっているがなかなかヘルパーの力が足りていないよう。先日”医療的ケア児支援法”についての記事を読んだことが記憶に新しい。
染色体異常により障害を持っている。
呼吸障害及び嚥下障害、てんかん発作がある。
慣れない施設や病院で過ごすと、たびたびの発熱がある
呼吸器をつけているが、カニューレの角度で肺への掃気が不十分な時があり、換気量の生の目での監視が必要。
当たり前だが換気量のアラームは設定されている。
だが、アラームが鳴ってからでは血中酸素濃度の低下に至るまでがとても早い。みるみるうちに顔色が悪くなる。それでは遅い。
かといって呼吸器の設定値を下げたならばしょっちゅうアラームが鳴ってしまう。
生の目での全体の管理が必要な環境であった。
食事は経鼻経管から栄養を摂る。
バイタルが落ち着いているときは、ゆらゆらのベビーチェアに乗っていただき、テレビをみたり、弟さんが遊ぶ姿を眺めたり、ヘルパーが読む本を眺めたり、ヘルパーが腕に抱くこともある。
そうして平穏に過ごす時間がとても貴重だなぁと思う。
ご本人の状態や家族の動きを把握するため、日中の支援からスタートした。
まだ体が小さい。キッチンのシンク上でベビーバスを使っての入浴。呼吸器を伴う着替えや移乗、入浴による気切部分の保護、顔色の変化や、代謝の向上に伴う排痰があれば吸引を行う。家族と一緒に介助する。とても優しい時間が流れる。
ヘルパー1人での支援まもなくてんかん発作に見舞われる。
とても焦る。全身の筋肉を使ってしか意思表示できない本人からの表現は、こちらの全身の筋肉が萎縮してしまうかのよう。顔色、脈、血圧、体温は高揚し、「もう!どうしたら!」という状況になったのを覚えている。
あらゆる可能性を考えて行動する、痰?カニューレの角度が悪い?排泄は?体の向きを変えてみようか?首の角度が苦しいか?クーリングは?着替えは?清拭の必要は?朝昼の薬はいつ飲んだ?母を呼んで坐薬か?頓服薬を準備しておこうか?
慣れない介入初期はいろんなトラブルがある。
だが、医療依存度が高い小児の方の場合、ご家族がいるうちにいろんなトラブルを経験しておいた方がいい。
たくさんの小さな失敗をする。指摘を素直に受け入れる。
このお宅では、家族がカニューレ交換をすることも多い。
代謝がいいので痰がカニューレにこびりついてしまうのだ。
吸引では取れない痰がカニューレの先端に芋づるのようについていることがある。これは抜かないと取れない。
母は強いなと感じた。
ここで養われたのは、
色、温度、数値、匂いからの仮定。さまざまな情報を観察&収集してそこから仮定を導く。何かが起きる前に、起こさないための対処を欠かさない。目の前の人が安心して過ごせる環境を維持しながら、傍でなんとも力強く美しい家族の愛を感じることができる。