居場所を求めて

佐藤飛美


  私はバツ1経験を持つ、俗に言うところのアラフォー女子です。
第二の人生をリスタートするにあたって選んだ転職先がESLであり、介護でした。

  土屋人の自己紹介でも書かせて頂きましたが、前職は慢性腎臓病(CKD)患者の食事療法をサポートする仕事であり、対象となる患者さまの多くが高齢者でした。 幼少期を振り返っても私自身が祖父母に可愛がられた記憶はなく、当時お爺ちゃんお婆ちゃんと接する事に新鮮さを感じていたように思います。

  少し前職での話を続けさせて頂きますね

  当初は治療食品の店頭販売も行っておりましたし、管理栄養士さん同席のもと栄養相談などにも対応させていただく対面での仕事がメインでした。
ところが、会社の方針で店頭での販売は全面的に通信販売に切り替える事となり、栄養相談の場も社外スペースとして薬局内の一角を使用させていただく事で、私は担当を外れることになりました。

  月に1度の通院帰りに寄って下さる患者様やそのご家族とのコミュニケーションの場は断たれ、とても寂しく感じたことを覚えています。

  そこで当時私が勝手に始めたのが、通信販売を利用して下さる全国に散らばった患者様たちとの文通でした。
私が対応させて頂いた患者様へ発送する全ての荷物には、手書きのメッセージを必ず同梱させて頂く事で心の距離を縮めていければと考えたのです。お返事の手紙を下さる方もいれば、お電話で近況を報告して下さる方もたくさんいらっしゃいました。

  しかし…
次第に担当人数が増えるにつれ、手書きにこだわっていた私はペンを握る手が腱鞘炎になるのでは?!と、冗談交じりにではありますが不安を抱くことにもなりましたし、他の業務をこなしながら理想を追求する事にあっという間に限界を感じたのも事実です。

  これについては、土屋訪問に所属しかつコーディネーター業務に携わる中で、すぐ同じ壁に直面することになりました。
今まさに、担当件数が増えるにつれ仕事のパフォーマンスが落ち、思い悩んでいるコーディネーターの方々も多いかもしれませんね。

  当時そこで感じた限界が転職の原因になったわけではありませんが、次の職ではもっと人と距離の近い仕事をと考えるきっかけになりました。
そこでまず思い浮かんだ職は看護師でしたが、まずは学費を貯めるところからのスータトです。医療的ケアというワードにも惹かれ、始めたアルバイトが重度訪問介護でした。
初めての介護、どんな職なのだろうと興味津々でアレコレ思いを巡らせました。バイトスタッフとしてこの業界を覗けることにもワクワクしていました。

  そんな中、私に「介護なんてク◯みたいな仕事に興味を持つべきではない」そう汚い言葉で言い放った人物がいたのです。
確かに介護職は「きつい・汚い・危険」の3Kであり、更には薄給だなどと言われる事もあります。ですが、私の好奇心を踏みにじられた事に加え、いつか自分たちも年老いた際には誰かの手を必要とするのではないだろうかと考えた時に、その捉え方は果たして正しいのか?と怒りにも似た感情が沸き起こり、憤りを感じました。
言わば反発心から、第二の人生をリスタートする際には必ず介護職で生計を立ててみせると、そこで私は心に誓い今があります。
看護を志す予定だった私は、早い段階で介護士へシフトチェンジする事となり重度訪問介護にどんどんのめり込んでいったのです。

介護、私にとっては未知の世界でした。
想像の範疇を超え巻き起こる様々な体験の中で、今でこそESLの企業理念に共感し自らのビジョンも薄っすらながら見えてきましたが、こうして振り返ってみると人の役に立ちたいであるとか、ソーシャルビジネスへの関心や意識が高まってのスタートではありませんでしたね。
当時は、ただただ私自身が環境の変化から人との繋がりに飢えていたのかもしれません。自分の居場所を見出す事にとかく必死で、もがいていたように思います。

誰かと繋がりたいと思えば、SNSなど活用できるコミュニケーションアプリは山のように溢れている便利な時代です。
もちろん、そういったツールを否定するつもりは毛頭ありません。ただあの時、少なからず欲したであろう人との繋がりを画面の中ではなく、今立っているこの世界に求め、そして選択した過去の自分を褒めてあげたい。今はそんな気持ちです。

そして当時、私のリスタートを言葉少なにも見守ってくれていた家族に、今改めて感謝しています。

人との出会いは人生の財産です。
この職に就いたきっかけが何であれ、たくさんの出会いと繋がりが詰まっているこの世界にいつの間にか魅了されてしまった私は、これからもこの道を、マイペースにふらっこふらっこ歩いていくのだろうと感じています。願わくばその先にまた、素敵な出会いが待っているといいな!なんて思いながら。

※佐藤飛美プロフィールはこちら 


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