『1年後の自分』

上杉秀貴



自分はあまり病気もしない方ですし“生きている”ということを意識する機会もそれほどありません。“死”というものももちろんいつか訪れるものなんだろうけど数十年先のことだろう。昨日もあったし明日もある。明後日も・・今までもずっと生き残れているからこの先もしばらくずっと大丈夫だろう。というような経験則から、いつ死ぬかわからない。という感覚を持ち、維持することはありませんでした。ましてや小売や外食産業の長かった自分にとって仕事の中に生や死を感じたり意識したりすることはほとんどありませんでした。

今、未経験の介護職の入り口に立っています。

妻と見に行った、余命1ヶ月の花嫁という映画を思い出しました。末期ガンで余命1ヶ月を宣告された主人公の結婚式までの闘病が描かれていました。印象的なシーンがあります。ビデオを撮影しながらパートナーに『何してる?』と聞かれた主人公が『生きてる・・』と答えました。“生きる”という行為が猛烈に意識的なもので全力なんだ。と感じました。
このテーマについて考え、文章にする。という行為自体が何か特別な意味を持ち始めたような気がしてきました。今、考えや気持ちを整理していく過程で自分の生死観に少し変化が生まれたように思います。

死を意識すると生の質が変わってくる。と記事で読んだことがあります。理論的にはなるほどな。と感じたのですが自分にも死は訪れるけどどこか遠くにあるものといった感覚がぬぐいきれませんでした。
利用者の方はどうでしょう。少なくとも死を自分よりリアルなものと感じ全力で生きている。全力で生きている姿が自分に何かを語りかけているのではないか。
そんなふうに考えました。

先日ユースタイルカレッジで研修を受けさせていただきました。障害をもたれた方たちが勝ち取ってきた歴史や話をされている動画など、今まで自分が思い描いていた、“障害者”というイメージが覆されました。とてもエネルギーにあふれていました。自分とは明らかに生の質が違うんだ。と感じました。
これから支援という形で直接的に利用者の方々に関わらせていただきます。経験したことのない何かを感じさせてくれるはずです。福祉や介護の知識やスキルが身についたという次元のものではなく何か自分の価値観や人生観までに大きな影響を与えてくれるのではないでしょうか。

1年後の自分に会ってみたく思います。この仕事でどんな経験をし、どんな人たちに出会い、どんな影響を受け、どんな考え方をしているんでしょうか。少しばかりの不安とそれを大きく上回る期待感に胸を膨らませ、今人生の岐路に立っています。



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